火曜日1限 S(選択科目) 対面授業

授業の目的

この授業は,「日本語教育の方法」について学ぶ授業です。とくに,初級・中級日本語学習者を対象とした日本語教育の方法を中心に、授業の計画と運営を中心に理解を深め、日本語を教えるための実践的な力を身につけていきます。

特に,次の5つの観点を常に混ぜ合わせながら進めていきます。

  1. 知る:複数の異なるアプローチによってできているシラバス、教授法、活動デザインの違いを理解する。
  2. 分析する:日本語教育の授業のいくつかのものを知り,それを分析することでどのような学習者にどのような目的の授業を行うのかを理解する。
  3. 為す:実際に日本語教育の小さな教育活動を考え,行い,言語教育の感覚を身につけることができる。
  4. 見る:日本語教育の小さな教育活動を互いに行い,省察する中で,学習を促す自分の考え方を問い直すことができる
  5. 認識する:一連の教育活動を通して,自分自身の言語教育の観点や哲学を更新していくことができる。

授業の展開

この授業はTeamsを中心に用いながら,日本語教育の授業を実際に分析をしたり授業計画をつくったり,実際に授業の要素を実践してみたりしながら,日本語教育実践の中にあるさまざまな要素と技,その背後にある価値について考えていきます。


第1回 4月21日(火)オリエンテーション

教科教育と日本語教育の「授業づくり」に関する視点の違いを,10年目の先生たちの授業づくりに対する視線のマインドマップの比較から考え「日本語教育は教科教育の授業づくりに比べてどんな視線が特徴的か」を考えていきました。


第2回 5月11日(火)日本語教育の教授法類型と言語教育観:形式重視と意味重視 

第2回にして緊急事態宣言に対応した遠隔授業の体制になってしまいました。。
ただ,この授業はどうしても模擬授業などの視点が必要となってくるため,ハイブリッド体制で進めることになりました。
ここから第5回までの授業は,ハイブリッド体制で,対面でも遠隔でもどちらも選べるように進んでいきます。

(サムネイルを押すとPDFに飛びます)
第2回目の授業は,複数の日本語教育の教科書を比較しながら,言語教育の大きく2つの教育原理の意味「形式重視の日本語教育(Focus on Forms)」と「意味重視の日本語教育(Focus on Meaning)」の違いを捉えていきました。
シラバスの全体構成,授業の活動の組み立て,根底にある哲学的視点を分担して考え,まとめていきました。


第3回 5月19日(火)外国語で外国語を学ぶ側になる:外国語の授業を受ける,構造を知る

外国語で外国語を学ぶというのはどんな気持ちなのか──を知るのは,第二言語の教育を進める上で欠かせない視点です。

第3回では,「タイ語でタイ語を学ぶ」ということから,第二言語学習を学び手の視点から捉えること,第二言語学習の構造を経験的に理解することを進めていきました。


第4回 5月25日(火)日本語授業の活動を見て,分析をし,構造を理解する

(画像をクリックするとPDFを見られます)

第4回は,第3回のタイ語を受けた経験をふまえて,実際の日本語の授業の見学と分析をしました。
ここからしばらくは「形式」に焦点を当てる教育法の学習をしていきます。
PPP的な授業,意味重視の授業,いろいろありますが,後者であってもFocus on Form等の発想の根幹には,形式に焦点を当てる発想は言語教育として欠かせない。
日本語教育の教育法に触れる初学者としてはとても重要なところです。

まず1つはYOUTUBEに公開されているたくさんの日本語の文型指導の授業の見学。およびそこにある分析をしていきます。その上で,第3回で受けたタイ語の授業の展開との共通点を探っていきました。

さらにその後,スピンオフとして,YSCグローバルスクールさんの子どもたちに対する文法指導の授業をオンラインで見学をさせていただき,共通点の具体化,事例の拡張をさらに図っていきました。


第5回ー第6回 6月1日,8日(火)日本語授業の活動の分析から構造を読み解く→実際に文型へのフォーカスをやってみる 

授業の見学や分析から見えてきた文型にフォーカスを当てることをふまえ,自分たちでもやってみる時間になりました。5分のマイクロティーチングをします。
(30分とか多くの時間を取ってしまうと,完全にPPPの授業展開になってしまうので,そうではなく,「文型へのフォーカス」という要素にとどめることで,色んな場面で使える部品の1つとして応用・転用可能にしようとしています)
とはいえ,大学2年生がほとんどの教室。模擬授業をするのもはじめてです。5分の時間とはいえ入念な準備が必要になります。(やがてパッとできるようになっていくのですが…)

文型の題材は『みんなの日本語』(スリーエーネットワーク)を参考に取っています。
近年たくさんの使いやすい教科書が出ています。
もしかすると会話を中心にした活動を実際に展開するにはそうした教科書の方が使いやすいかもしれません。
ただ,「耐教師性(teacher proof)」の視点から見ると,新しい教科書の多くは「耐教師性がある(教師の資質能力を問わない)」方向でつくられていることが多く,作り込まれている分,教師の柔軟な活動創造の側面は逆に削がれてしまうことも多くあります。
「自分でつくってみる」ということを念頭に置いた場合,逆に「耐教師性のない(教師の力量が問われるけれど,いろいろつくれる)」もののほうが応用可能性があることもあり,今回は『みんなの日本語』を採用しています(それにしても『みんなの日本語』がうまれたころはこれこそが「つかいやすい」「耐教師性のある」感じの受け止められかただったと思うのですが)。

ということで,来週6月15日は,実際のマイクロティーチングの時間になります。わくわく。

(次回に続く)