初等教育教員養成の大学1年生に向けた「外国人児童・生徒の教育」の授業準備で,外国につながる日本語指導が必要な子どもの「在籍クラスでの学びのありかた」と「取り出し教室」の関係。
文部科学省の「外国人児童生徒教育受入れの手引き」をはじめ,「日本語指導のカリキュラム」は提示されているものがたくさんある。世間的な問題関心やニーズとしても多く,それに応える必要性からも「日本語指導のカリキュラム」は「取り出した日本語の教室」で何をするかということを念頭において焦点化している
ただ,私の所属する大学の受講生の特性として,将来いわゆるメインストリームの教師をめざしている学生たちが多いことをふまえて,2つの教室(「在籍するクラスの教室」と「取り出して別教室」)の関係性をふくめて示している。
そこと「ふだんいるクラス」(いわゆる在籍学級)との関係を考えると,日本語指導をしていない時間の教室で何ができるか,その先で何をするかって,まだまだ見えない,まだ整理されていない部分が多いように思う。在籍するクラスの教室で何をするか,何ができるかは今後もっともっと検討されていく必要がありそうだ。
例えば,「母語・母文化の教育」「国際理解教育」という所は本来は両方の教室にかかったところで為されるものだろうし,また,本来は「在籍するクラスの教室」から「取り出した日本語の教室」に持ち込むものもたくさんあるだろう。
また,取り出した教室での日本語指導のノウハウ(例えば,言語の簡易化,視覚化,操作化,体験化など)を在籍するクラスの中で用いていくことも大切だけれども,単にそればかりというわけでもないだろう。
「指導の個別化,学習の個性化」あるいは「課題の個人化↔課題の社会化」といったように,方法に着目するばかりではなく,ことばと文化の多様な子どもたち(そこにはいわゆる「日本語母語話者」の子どもも入るはずで)がそれぞれのことばや文化を持ち込んで学ぶような「テーマ」を持ち込んだ単元も可能になるだろう(下の図は別の授業(「学習開発学入門」)で用いたタスクの図)。
むろん,「あ」から「え」にかけてのものはそれぞれが対立的に存在しているわけではなく,本来補完関係,包含関係的なもの。このあたりを整理しながら,「普段在籍しているクラス」と「日本語のクラス」をどう関係づけていくか,それを学校としてどう実現していくか,考えていきたいものだ。