▼2023年5月16日(火)「学習開発学入門1」(2年生向けのゼミ紹介)で配布した資料

研究室の学習方針

研究室は広島大学の次の組織に所属しています。
学部の場合は「教育学部 第一類(学校教育系)初等教育教員養成コース 学習開発学領域」,大学院の場合は「大学院人間社会科学研究科 教育科学専攻 教師教育デザイン学プログラム 学習開発学」に所属しています。

基本的に「教育学」の領域にあたる教育組織にいます。教育学はとても広い領域なので,テーマはそうした教育学にかかわるものであれば自由です。地域づくり,学校づくり,授業,評価,教材,環境,教科書,カリキュラム,子どもの成長,教師の成長……教育に関するいろいろなことが切り口になっていいと思います。

こうした広い領域にかかわる研究室のメンバーシップとしては,「分野」「テーマ」「学問基盤」を軸に集まるのではなく,「姿勢」「目線」で集まることを大切にしたいと思います。主として以下のことです。全てを共有する必要はありません。これらを大切にしている場であればいいなと思います。

多様性×教育

私個人は仕事として「外国人児童生徒」をめぐる教育の仕事が多く,テーマとしては「多様性×教育学」が中心でした。もちろん研究室に所属する人たちが全てそのテーマを行う必要はありません。
が,対話や研究のアイデアのいろいろなところに「多様性×教育学」という観点が入り込んでいく姿勢は共有していきたいと思っています。

「おもろい!」×「なるほど!」

「おもろい」は関西弁ですが,単なる面白いではなく,これまでになかった発想,視点を荒削りでも感じられていくことを大切にしたいと思います。そのためには,遊びや趣味の中で培われてきたこと,普段から教育の営みを多様な角度から捉える姿勢,実際の関わりの経験はとても大切です。そうしたことの上にアイデアはあるのだと思います。さらに,幅広い読書を重ねていくことも大切です。

ただ,「おもろい!」ということばは,ひとりよがりではもらえません。相手があっての「おもろい」なので,自分の発想や考え,主張をどう相手に伝えていくかも同時に大切です。そのためには伝えること,納得を生み出すための論理,ことば,具体,媒体などをうまく組み合わせていきながら表現の力を磨いていくことも重要です。「論文を書く」ということだけでなく――場合によってはラップなんかもあるのかも知れませんし,教師であれば「教材で語る」「授業で語る」というものもありえます――色々な場でふさわしい表現の力を身につけていってもらいたいと思います。

ゼロからイチを!

2023年度から広島大学に異動したため,まだ広島大学での「ゼミ」は存在していません。
2023年度,24年度と進んでいく中で文化がつくられていきます! ゼロからイチをつくる楽しさは格別です。お待ちしています!


以下,2016年-2022年は,前任校の東京学芸大学 日本語日本文学研究講座(国語教室)の日本語教育コースでの卒論修論です。

2022年度の3年生は,10名で国語教育2名,日本語教育8名で多様なテーマを行っていました。
南浦の大学移動にともなって,4年次はそれぞれ異なる研究室に再配属されています。
22年度の元気な学習の記録は下のリンクから懐かしむことができます~。


研究室に関わった先輩の卒業論文・修士論文

2022年度

ジャンル理論をふまえた学校教育における「書くこと」の研究
keyword: 読書感想文,ジャンル,作文,書くこと


吃音がある子どもを包摂する国語教育
keyword: 吃音,障害の社会モデル,セルフスタディ


日本語学習者の役割語の利用―スタイルシフトの利用を中心に
Keyword:キャラ語・役割語,待遇表現,留学生,スタイルシフト など


大学入試改革─高校教育と教育産業の接続─
keyword: 大学入試,予備校,教育の商品化


小学校における読書活動と環境
keyrword: 学級文庫,読書活動,学習環境設計,小学校 など


国語科自主ゼミの活動が学生の教職意識に与える影響
keyword: 自主ゼミ,教師教育,教職意識


教育格差の是正に向けた公立小学校のとりくみ
keyword: 教育格差,デモグラティックスクール,力のある学校


2021年度

日本語教育におけるTRPGのゲーム教材としての分析
Keyword:TPRG,アクションリサーチ,ゲーム開発,外国人児童 など


マルチモーダルを活かした言葉の教育の教材分析──多言語環境におけるインクルーシブな教育の実現を目指して
Keyword: 国語科教育と日本語教育の融合,トランスランゲージング,マルチモーダル など

2020年度

帰国児童に対する国際学級国語科実践のアクション・リサーチ研究―新任教師のフレームの変容過程に着目して〈修士論文〉
Keyword: 国語科教育と日本語教育の融合,複言語主義,トランスランゲージング,アクション・リサーチ など


学習者の自律性を育む日本語教育―学習者へのインタビューから見えた学習環境と自律性の関係
Keyword: 国語科教育と日本語教育の融合,複言語主義,トランスランゲージング,アクション・リサーチ など


現代日本における母語話者の日本語に対する規範意識に関する研究―小学校国語教科書・児童用日本語教科書・小学校書写教科書における「文字を書くこと」についての指導の規範
Keyword: 文字指導,母語の規範意識,批判的談話分析 など


2019年度

在籍学級における外国人児童の学びの保障
Keyword: インクルーシブ、在籍学級の学び,フィールドワーク など

日本語教育のマネジメント研究
Keyword: 食べていける日本語教育、組織作り、文献調査 など


海外の日本語教育機関におけるカリキュラム開発
Keyword:継承語、アメリカ補習授業校、実施したカリキュラム、インタビュー など

第二言語による学習参加のための教育ツールの開発
Keyword: ゲーム開発,コミュニケーション、学習参加 など


2018年度

多様な日本語教育現場の状況を踏まえた教師の実践構築プロセスの研究─教師へのインタビューを通して〈修士論文〉
Keyword: 教授法の創造、ポストメソッド,教育観,内容と言語の統合 など

外国人児童生徒に対する評価方法の研究─高校教員の評価に関する工夫と葛藤を視点として
Keyword: 高等学校、外国人児童生徒、評価、評価観 など

日本語教育の教室における使用言語と学習の公正性―都議会言説と自治体の教材の関連性を手掛かりに
Keyword: 東京都議会,自治体教材,言説 など

地方在住の日本語学習者の言語獲得意識―大阪から東京に移動したタイ人留学生の語りを通して
Keyword: 方言、日本語学習者、関西方言 など

聞く力の軽視 聞く力を伸ばす実践とは
Keyword: 国語科教育、聞く力、教室実践 など

人口減少時代における外国人材のための日本語教育
Keyword: 日本語学校経営、人口減少社会、地域共生、PBL など


2017年度

日本語教育における「教師の教室内発話」の意識についての研究―「ティーチャー・トーク」をオルタナティブに拓く〈修士論文〉
Keyword: ティーチャー・トーク言説、教師の教室内発話,教育価値観,教師教育 など

日本への移動経験者とその周りの子どもたちとの関係構築過程の研究
Keyword: 移動経験者と周りの子どもの関係構築,ライフストーリー,TEA など

学校における言語景観―提示の方法とメッセージ性の分析
Keyword: 学校言語景観,質的分析,環境の打破 など

生涯教育としての日本語教育のあり方について―フィリピンでの実践的研究を視点に
Keyword:海外の子どもたち,日本に行く/日本人と話すではない日本語教育,実践分析 など


ここより以前は山口大学教育学部(小学校総合教育コースおよび社会科教育選修担当)所属時代です

2016年度

小学校社会科における「対話」の再考―教師-子どもの権威関係に注目して〈修士論文〉
(山口大学の2015年度までのゼミ生,2016年度は南浦移動により副査として)
Keyword: 対話、ワーチ、権威関係、歴史学習 など

学校教育と複言語複文化的視点
(南浦異動のため2016年度は源田ゼミに所属)  Keyword: 複言語主義,外国人児童生徒,学校教育


2015年度

特別支援教育における「福祉」の視点の可能性
Keyword: 包括的ケア、分析的ケア など

小学校教員の成長に資する「理論」の捉え方の研究
Keyword: 理論と実践、実践の中の理論 など


2014年度

省察と成長の循環―「あの関わり」の捉え方の変化を通して
Keyword: 省察の意味,社会的状況との関わり,教師の成長 など

ダイアローグによる歴史学習の基礎的研究―オーラル・ヒストリーを視点に
Keyword: ダイアローグ,オーラル・ヒストリー,歴史学習 など

外国人児童をどのように支えるか―「つながりの支援」から「つながりの実践」へ
keywords: 外国人児童生徒,日本語教育 など

先の見えない社会におけるキャリア教育―「ワーク」から「ライフ」へ
keywords: 異年齢集団(中学生と大学生or大人),キャリア形成促進,コミュニティ・スクール など

学校を超えて生かせる力の育成としての隠れたカリキュラム―小学校教育コースの分析から
keywords: 意図的な隠れたカリキュラム,活用力,教師の手立て など

道具としての黒板の活用―子どもの主体的な学びのために
keywords: 対話型黒板,機能,教師の授業観と黒板観 など


2013年度

授業における小中連携を探る研究
Keyword: 小中連携,社会科 など

授業内における教師の指導・支援の意図―「現場経験が子どもを見る目を作る」を越えて
Keyword: 教師の意図,子どもへの対応,チューターの意味 など

中学校社会科教師のライフストーリー研究―大学卒業後の教師の成長に注目して
keywords: 教師の成長,社会科教育観,ライフストーリー など

外国にルーツを持つ子どもに日本の学校教育が与える影響
keywords: マイノリティ,多文化教育 など

学習指導における小学校教員の専門性についての探索的研究
keywords: 小学校教員の学習指導の専門性,教科内容≠教育内容 など


2012年度

「教師と子どもの思い」から授業の横断的目標を見つける研究―小学校の特別支援教育を中心に
Keyword: 教師の実際カリキュラム,横断的目標,特別支援教育

学習指導における「学び合い」の研究
Keyword: 学び合い,アクションリサーチ