教育学の研究は、どのような方法で進めていけばよいのでしょうか。
これは、とても難しい問いです。
自然科学の研究であれば、「実験」「調査」「結果」「考察」といった流れが、ある程度定型化されていることがあります。しかし教育学は、人文科学と社会科学のあいだに位置する学問でもあり、研究の進め方は一つに決まっているわけではありません。実践を記述する研究、授業や学習の過程を分析する研究、教育の価値や目的を問う研究、制度や歴史を読み解く研究など、さまざまな方法があります。
そのため、教育学の方法論は、これまで大きな講座制の研究室などで、先生や先輩との対話を通して少しずつ学ばれてきた面があります。そうした学び方には、大切な意味があります。研究の問いの立て方や、資料・データとの向き合い方、論文の組み立て方は、たしかに人との対話の中で身についていく部分が大きいからです。
一方で、方法論が口伝的に受け継がれるだけでは、その場にいない人には研究の進め方が見えにくくなります。また、ある研究室や学派の中では当然とされている考え方も、外から見るとわかりにくいことがあります。教育学を学ぶ人が減り、大学院や研究の場そのものも変化していく時代だからこそ、研究の方法や考え方を、できるだけ開かれた形で共有していくことが大切だと考えています。
このページでは、これまで本ウェブサイトで書いてきた教育学研究の方法論に関する記事をまとめています。また、南浦が別の場所で書いてきた方法論的な文章へのリンクも整理し、教育学研究の進め方について考えるためのハブとして位置づけています。
教育学の研究を始めたい人、研究の問いの立て方に悩んでいる人、実践と研究をどのようにつなげればよいか考えている人にとって、少しでも手がかりになるページになればと思います。

研究方法論記事リンク
研究方法論に関する書きもの
- ビースタ, G., 亘理陽一、神吉宇一、川村拓也、南浦涼介(訳)(2024)『よい教育研究とはなにか─流行と正統への批判的考察』明石書店
- 南浦涼介(2022)「教科教育学における『往還』を保障する研究の接近法とシステムの複線化─学校状況をふまえた『多様性の教科教育学』の構築に向けて」 『日本教科教育学会誌』44 (4), 75-81.
- 南浦涼介(2020)「第2章 協働・対話という観点によって授業の何が見えるか? ─論理実証アプローチと社会文化的アプローチ」梅津正美(編)『協働・対話による社会科授業の創造─授業研究の意味と方法を問い直す』(pp.22-42)東信堂,
- 南浦涼介(2016)「『実践を研究として書く』ということの意味―実践の当事者として」『異文化間教育』43, 65-79.
- 南浦涼介(2015)「国内研究誌に学ぶ『意義ある研究』」草原和博、溝口和宏、桑原敏典(編)『社会科教育学研究法ハンドブック』明治図書.

