[授業・大学院]外国人児童生徒の教育課程デザイン論 アーカイブ 2026

おねがい 本ページで公開している資料は、大学院の授業のアーカイブです。授業・研修・学習の参考としてご覧ください。
また、あくまで授業の「部分要約・比較・問い」に限定された授業アーカイブであり、論文・報告書等で使用する場合は、原典や最新の公的資料もあわせて確認してください。転載・再配布はご遠慮ください。
また、受講生によって掲載は許可を得ており、掲載期間は2028年3月末までです。

この授業の意図・背景

この授業で一つ考えたかったのは、「外国人児童生徒教育」を教育の学として考えるときの「ペダゴジー」、つまり、どのような教育をよいものとして構想するのかという理論の問題です。

外国人児童生徒教育では、支援をめぐる議論が豊かに蓄積されてきた一方で、そこから一歩引いて、カリキュラムや教育の規範そのものを問い直す議論は、相対的に見えにくくなることがあります。

また、実証研究・経験研究を基盤とする領域が中心であったこともあり、政策や施策を参照したり、海外や異分野で形成された理論を援用したりすることも多くあります。

それ自体は重要ですが、理論を実践やデータを解釈するための枠組みとして使うだけでなく、研究のなかで理論そのものを問い返し、組み替えていくことも、大学院で学ぶべき営みの一つだと考えています。

「教育の学」として外国人児童生徒教育を学ぶなら、既存の支援論や理論的枠組みを前提にするだけでなく、その規範自体を相対化し、「どのような教育を構想するのか」を問い直していく視点が重要なのではないか。

今回は、そんなことを受講生のみなさんと考える授業でした。

授業の目的
  • 「外国人児童生徒」をめぐる教育を「支援」ではなく「カリキュラム」という視点から問い直すことができること。
  • 「カリキュラム」とは編成論をさすのみではなく、多様な長期的組織的な視点からのアプローチであることを知り、その視点から教育を捉えることができる。

このページの全体マップ

授業の展開

この授業は、外国人児童生徒とカリキュラムの視点を得るために、日本語文献と英語文献を比較して読み、「日本の外国人児童生徒教育研究」を客体化させていきます。

カリキュラムの視点は大きく5つにわかれ「言語・参加のカリキュラム」「承認・反差別・歴史のカリキュラム」「資産・家庭・地域知のカリキュラム」「公共性・市民性のカリキュラム」「評価・制度・配置のカリキュラム」の点から検討します。

1-2導入:「支援」から「カリキュラム」へ
3リーディングタイム
4-5検討1:言語と参加のカリキュラム―ことばを学ぶことは、学びへの参加をどうひらくのか
〈英語文献〉

Kenner, C., & Ruby, M. (2013). Connecting children’s worlds: Creating a multilingual syncretic curriculum through partnership between complementary and mainstream schools. Journal of Early Childhood Literacy, 13(3), 395–417.
〈日本語文献〉
齋藤ひろみ. (2019). JSLの子どもを対象とする内容重視の日本語教育:日本国内の実践・研究の動向から. 第二言語としての日本語の習得研究, 22, 10–28.
6-7検討2:承認・反差別・歴史のカリキュラム―誰が承認され、誰の経験と歴史が語られるのか
〈英語文献〉

Tintiangco-Cubales, A., Kohli, R., Sacramento, J., Henning, N., Agarwal-Rangnath, R., & Sleeter, C. (2015). Toward an ethnic studies pedagogy: Implications for K–12 schools from the research. The Urban Review, 47(1), 104–125.
〈日本語文献〉
倉石一郎. (2001). マイノリティ教育における〈包摂〉原理の再検討:1970年前後の大阪市における在日朝鮮人教育をめぐる「言説の交代劇」から. 教育社会学研究, 69, 43–63.
8-9検討3:資産・家庭・地域知のカリキュラム―子ども・家庭・地域の知を、学校の学びにどう生かすのか
〈英語文献〉

Moll, L. C., Amanti, C., Neff, D., & González, N. (1992). Funds of knowledge for teaching: Using a qualitative approach to connect homes and classrooms. Theory Into Practice, 31(2), 132–141.
〈日本語文献〉
清田淳子. (2024). 「地域の母語支援者」による母語を活用した教科学習支援の特徴:「地域の母語支援者」が行う読みの活動や発問に注目して. 母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究, 20, 31–55
10-11検討4:公共性・市民性のカリキュラム―ともに生きる社会をつくる学びを、どう構想するのか
〈英語文献〉

Bajaj, M., & Bartlett, L. (2017). Critical transnational curriculum for immigrant and refugee students. Curriculum Inquiry, 47(1), 25–35.
〈日本語文献〉
松尾知明 (2012). 日本における多文化教育の構築. 社会科教育研究, 2012(116), 45–56.
12-13検討5:評価・配置・制度のカリキュラム―評価と制度は、誰の学びへのアクセスをどう形づくるのか
〈英語文献〉

Umansky, I. M. (2016). Leveled and exclusionary tracking: English learners’ access to academic content in middle school. American Educational Research Journal, 53(6), 1792–1833. 
〈日本語文献〉
河野あかね・白田千晶・三木杏子・秋本瞳(2025)複数の評価方法による児童生徒の日本語能力評価の可能性―SPOT-Y, DLA, JSLバンドスケールを組み合わせた評価方法の活用『子どもの日本語教育研究』8, 1-15.

スライドの基本テンプレート(以下の観点で作っています)

スライドの視点内容
①文献情報と今日の焦点論文タイトル/著者情報/今日とくに注目する問い
②論文の背景どの国・地域・制度・実践を背景にしているか
どのような教育課題が問題化されているか
なぜこの論文が今回のテーマに関係するのか 
③論文の目的と問い著者は何を明らかにしようとしているか
何に反論しているか
何を提案しようとしているか
④重要概念キーワードを3−5個絞る
それぞれのキーワードを説明する
⑤論文全体の構成章立て(IMRADを意識して整理する)論の流れを可視化する
⑥論文の主張と知見(2-3つ程度)論文の中心的な主張を示す明らかにされたこと
論拠や根拠は何か
どのような概念が用いられてそれが説明されているか
⑦この論文が「カリキュラム」に込めようとしていること子ども観:子どもはどのような存在として捉えられているか
言語観:言語は能力・資源・権利・参加など、どのようなものとして捉えられているか
学校観:外国につながる子どもたちに対して学校はどのような場か(同化の場か、認識変容の場か、変革の場か、など)
カリキュラム観:カリキュラムはどのようなものと考えられているか?

検討1:言語と参加のカリキュラム
―ことばを学ぶことは、学びへの参加をどうひらくのか

英語論文 Kenner, C., & Ruby, M. (2013). Connecting children’s worlds: Creating a multilingual syncretic curriculum through partnership between complementary and mainstream schools. Journal of Early Childhood Literacy, 13(3), 395–417.


日本語論文 齋藤ひろみ. (2019). JSLの子どもを対象とする内容重視の日本語教育:日本国内の実践・研究の動向から. 第二言語としての日本語の習得研究, 22, 10–28.

随所に挟まれる “ZINE” は、授業後に受講生(聞き手)が作成したふりかえり通信です。各回の検討を、聞き手の視点から振り返り、学生のコメントやミニコラムを通して、論点や考えを整理するできるようにしています
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検討2:承認・反差別・歴史のカリキュラム
―誰が承認され、誰の経験と歴史が語られるのか

英語文献 Tintiangco-Cubales, A., Kohli, R., Sacramento, J., Henning, N., Agarwal-Rangnath, R., & Sleeter, C. (2015). Toward an ethnic studies pedagogy: Implications for K–12 schools from the research. The Urban Review, 47(1), 104–125.


日本語文献 倉石一郎. (2001). マイノリティ教育における〈包摂〉原理の再検討:1970年前後の大阪市における在日朝鮮人教育をめぐる「言説の交代劇」から. 教育社会学研究, 69, 43–63.

随所に挟まれる “ZINE” は、授業後に受講生(聞き手)が作成したふりかえり通信です。各回の検討を、聞き手の視点から振り返り、学生のコメントやミニコラムを通して、論点や考えを整理するできるようにしています
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検討3:資産・家庭・地域知のカリキュラム
―子ども・家庭・地域の知を、学校の学びにどう生かすのか

英語論文 Moll, L. C., Amanti, C., Neff, D., & González, N. (1992). Funds of knowledge for teaching: Using a qualitative approach to connect homes and classrooms. Theory Into Practice, 31(2), 132–141.


日本語論文 清田淳子. (2024). 「地域の母語支援者」による母語を活用した教科学習支援の特徴:「地域の母語支援者」が行う読みの活動や発問に注目して. 母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究, 20, 31–55

随所に挟まれる “ZINE” は、授業後に受講生(聞き手)が作成したふりかえり通信です。各回の検討を、聞き手の視点から振り返り、学生のコメントやミニコラムを通して、論点や考えを整理するできるようにしています。
この号は、受講生たちが複言語的につくろうと、中国語と日本語を交ぜてつくっています。中国語が読めない方はぜひ、翻訳機を使って読んでください!
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検討4:公共性・市民性のカリキュラム
―ともに生きる社会をつくる学びを、どう構想するのか

英語論文 Bajaj, M., & Bartlett, L. (2017). Critical transnational curriculum for immigrant and refugee students. Curriculum Inquiry, 47(1), 25–35.

日本語論文 松尾知明 (2012). 日本における多文化教育の構築. 社会科教育研究, 2012(116), 45–56.

随所に挟まれる “ZINE” は、授業後に受講生(聞き手)が作成したふりかえり通信です。各回の検討を、聞き手の視点から振り返り、学生のコメントやミニコラムを通して、論点や考えを整理するできるようにしています。
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論点5 評価・配置・制度のカリキュラム
―評価と制度は、誰の学びへのアクセスをどう形づくるのか

英語論文 Umansky, I. M. (2016). Leveled and exclusionary tracking: English learners’ access to academic content in middle school. American Educational Research Journal, 53(6), 1792–1833. 

日本語文献 河野あかね・白田千晶・三木杏子・秋本瞳(2025)複数の評価方法による児童生徒の日本語能力評価の可能性―SPOT-Y, DLA, JSLバンドスケールを組み合わせた評価方法の活用『子どもの日本語教育研究』8, 1-15.

随所に挟まれる “ZINE” は、授業後に受講生(聞き手)が作成したふりかえり通信です。各回の検討を、聞き手の視点から振り返り、学生のコメントやミニコラムを通して、論点や考えを整理するできるようにしています。
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