外国人児童生徒への日本語教育 2020春

春学期 月曜日3限 共通SE オンライン・オンデマンド型

授業の目的

  • 外国人児童生徒の教育に関する現状を知る(第1回~第2回)
  • 外国人児童生徒のライフコースから、教育的支援の視点を得る(第3回~第7回)
  • 子どもたちへの日本語教育の内容と方法について基礎的な知識と考え方を得る。(第8回~第10回)
  • 多文化共生、社会的公正の視点から多様性を尊重した学校づくりを考える(第11回~第12回) 

本授業は,近年増加する外国人児童生徒への日本語指導をどのように考えていくのか,社会的背景の理解,子どもたちの言語的文化的背景やライフコースへの理解,日本語指導の具体的方法,学校づくりのありかたなどを総合的に学ぶ時間です。

本授業は,COVID-19の影響,および受講生が非常に多かったため,オンラインによる,オンデマンド型(双方向ではない,資料をアップロードして行く授業)になりました。
その中での試みであったことをいかして,まだまだ浸透しているとは言えない,現場の先生たちや関心を持つ人たちへの外国人児童生徒への日本語指導の考え方や情報の公開になると考えてその一部を公開します(著作権や受講学生の権利を考え,全体ではありません)。

授業のシステム

左側の画像にあるように,この授業はオンデマンドであることを生かして,授業内にいくつかの「探究タスク」(タスクA,タスクB)を行い,最後に「まとめタスク」を行うという方法を採っていました。タスクAとBは,授業内容によって,どちらか好きな方から入ることもできるときもあります。(なお,期限は最終的にその日の23:59までになりました。既に終わった話ですが…)


第1回 5/11 外国人児童生徒教育の現状と課題を知る(1)
なぜ学ぶのか? 何を学ぶのか?

こちらはオリエンテーションの役割も兼ねており,しばらくは非公開です。


第2回 5/18 外国人児童生徒教育の現状と課題を知る(2)
外国人児童生徒をどのように受け入れるのか?

https://youtu.be/H96mo86D0mA
Abema TV 増える「外国ルーツ」の子ども 教育現場のいま
第2回 タスクA 解説動画

2-1 タスクA 外国人児童生徒をどのように受け入れるのか?

外国人児童生徒に対する教育を学校で中心で進める「日本語指導担当教師」。その教師の仕事は次のうちどれになるでしょうか。

  1. 日本語を教える
  2. 地域の教育委員会や国際協会に通訳の依頼をする
  3. 外国人児童生徒の日本語学習の状況を学級担任に伝える
  4. 転入してきた外国人児童生徒の学校生活面を支える
  5. 学校外の地域で行われている日本語教室の情報を収集する
  6. 家族のカウンセリングをする
  7. 進路の情報収集と子どもたちへの指導
  8. 学校内での多文化・多言語共生の活動などを提案する
外国人児童生徒の多い学校のニュース資料を見る

ワークシートに自分の予想にチェックを入れたら、それを確かめるために、以下のビデオ(AbemaTV 増える「外国ルーツ」の子ども 教育現場のいま)を見てみてください。

これは、ある小学校の取材の様子です。
見る中で、どの仕事があるかチェックしながら見てみることをおすすめします。

解説動画(第2回タスクA)を見る

終わったら,タスクA解説動画に飛んでください。


2-2 タスクB 全国的にはどのように外国人児童生徒がいるのか?

こちらは非公開とします


第3回 5/25 外国人児童生徒教育の現状と課題を知る(3)
子どもたちの歴史的社会的背景を知る

第3回 タスクA 解説動画

3-1 タスクA 日本になぜ外国人は増えているのか,その社会的背景を知る

「今、日本に外国人はどのくらい住んでいるのでしょうか?」
第1回の授業で、日本語指導を必要とする子どもの数の話はありました。だいたい5万人だということでしたが、大人も含め、日本に今外国人の人はどのくらい住んでいるのでしょうか。

A 150万人以下
B 150万人〜250万人
C 250万人以上

解説動画(第3回タスクA)を見る

終わったら,タスクA解説動画に飛んでください。


3-2 タスクB 「外国人児童生徒」の捉えかたを再考する

こちらは非公開とします


第4回 6/1 子どもたちの人生から支援の可能性を考える(1)
子どもたちと言語と社会の関係

第4回 タスクA 解説動画

4-1 タスクA 「文化の間を移動すること」は,ことばの発達や成長にどのような影響を与えるか?

第4回では,授業内で資料として以下の本の一部を紹介しました。

川上郁雄(2010)『私も移動する子どもだった』くろしお出版.

みなさんは「バイリンガルな人」と聞いて、どんなことを思い出しますか?

よく、「バイリンガル」とか「帰国子女」とかといった言葉でイメージされるのは、2つの言語を駆使して、流暢に二言語を使いこなす姿ではないでしょうか。
しかし、「移動する人」であった人たちは,かならずしも、そうしたバランスよく言語を話す人ではなかったように思います。では、4人の人たちは「バイリンガル」ではない? うーん……。

さて、ここで考えたいのは、「移動」をする中で人はことばをどのように成長させていったり、また、葛藤していったりするのだろうか、ということです。
そしてそれは、子どもたち自身の問題だけでなく、私たちの社会のありようがかかわっていないか。ということを考えていきます。その上で、人がよりよく「ことばを伸ばしていく」という環境を作るために必要なことは何か。まずはこれを考えていきたいと思います。

解説動画を見る

それを考えるために、解説動画(第4回 タスクA 解説動画)を見てみてください。


4-2 タスクB 「外国人児童生徒」たちは複数の言語や文化の中でどのようにアイデンティティを形成していくのか

こちらは非公開とします


第5回 6/2 子どもたちの人生から支援の可能性を考える(2)
複数言語環境と学力

第5回 タスクA 解説動画

5-1 タスクA 学力に伸び悩む背景に何があるのか?

第5回では,この授業のメインテキストの一部を事前に読んでから,解説動画を見るようになっています。

齋藤ひろみ・今澤悌・内田紀子・花島健司(2011)『外国人児童生徒のための支援ガイドブック』凡人社

タスクAでは、動画に入る前に、グエンさんの「エピソード1:おしゃべりはできるのに、勉強がわからない」(pp.59-61)を読んでください。

「エピソード」「先生の話」「グエンさんの気持ち」「特別支援学級の先生」の話が出てきます。また、「その後のグエンさんの様子と先生の対応」も出てきますので、目を通してください。

なぜ、グエンさんは「3年生になって急に、学習に心配が起こるようになってしまったのか」ということを考えていきます。

解説動画を見る

それを考えるために、解説動画(第5回 タスクA 解説動画)を見てみてください。


5-2 タスクB これまで学んできた視点とグエンさんのライフコースをつなげて考える〈理論と実際の関連〉

こちらは非公開とします


第6回 6/15 子どもたちの人生から支援の可能性を考える(3)
子どもたちの物語から支援の視点を得る

第6回 まとめタスク 解説動画

今日の授業の目標は「子どもたちのライフコースを読んで、教師の支援の大事さの共通点を考える」ことが大きな目標です。
特にその中でも2つのこと。

子どもの学習の悩みに向き合った教師の「よい解決方法」の共通点は何だろうか?

学校の文化と子どもたちの文化のズレの狭間に立った教師の「よい解決方法」の共通点は何だろうか?

今日は、この2つを考えるために、「じっくり」とエピソードを読む時間を丁寧に取りたいと思います。
解説を聞く以上に、エピソードに浸るということが今日は大事です。
前回も少し話しましたが、「わかる」ためにはいくつかの方法があります。
1つは、先生の話などから論理的に重要な要素を構造的に理解していく方法。
もう1つは、エピソードなどから共感的に物語を総合的に理解していく方法。
今日(実際は先週も)は、後者の学び方が重要です。
私たちは、子どもたちのこと、成長のこと、それから教師の立場での葛藤や悩み、模索しながらの解決を知るためには、案外こうして「物語を読む」ことで得られる物があります。


6-1 タスクA 子どもたちの学習の悩みに向きあった教師の「よい解決方法」の共通点は何だろうか?

基本的には非公開です。
メインテキストを読み,その中のエピソードの一部を使い,共通点を探る活動をしています。

齋藤ひろみ・今澤悌・内田紀子・花島健司(2011)『外国人児童生徒のための支援ガイドブック』凡人社


6-2 タスクB 学校の文化と子どもたちの文化のズレの狭間に立った教師の「よい解決方法」の共通点は何だろうか?

基本的には非公開です。
メインテキストを読み,その中のエピソードの一部を使い,共通点を探る活動をしています。


6-3 まとめタスク 解説動画

上の共通点を探った上で,解説動画を見ます。解説動画(第5回 タスクA 解説動画)を見てみてください。


第7回 6/22 学校と地域で教育をつなげる

7-1 地域の日本語教育はどんなところで,どのような取り組みをしているのか?

第7回は,「地域」に焦点を当てていきます。これまで教育といえば「学校」という場で何をするかということが前提になっていました。

しかし,教育は学校という場だけで行われているわけではありません。とくに外国につながる子どもたちの教育は,地域が担っている役割もとても大きいです。

第7回は,ある地域の外国につながる子どもたちの教育ボランティア組織の人をゲストスピーカーに迎え,取り組みについてのお話を聞きます。

動画でそれを実現するために,受講生ではない有志の学生たちに「バーチャル学生」として登場して,対話的にお話を伺い,それを受講生も一緒に見ていくという形式をとっています。

解説動画を見る

ゲストスピーカーおよび参加したバーチャル学生が関係するため,現時点では非公開です。


第8回 6/29 外国人児童生徒教育における日本語指導を知る(1)
全体像・サバイバル日本語

第8回 タスクB 解説動画

8-1 タスクA 日本語指導の全体像をイメージする

メインテキストのpp.130-134を読みます。


8-2 タスクB 初期日本語指導から日本語教育実践を考える

初期日本語指導の実際を見る

このタスクでは,具体的にどのような形で日本語学習が進められるのかを,映像を通してみてみましょう。

ここでは「模擬」を見るという形で見ます。1つの映像は約1分です。

ここの映像はJYL Project(年少者日本語学習資料開発・普及事業http://www.kodomo-kotoba.info/)によって運営されているもので,以下のプログラムからいつでも閲覧が可能です。

この中の「ビデオライブラリ」があります。
そこをクリックするとさまざまな資料映像があります。
その中の「ある「ビデオライブラリ」にある「初期日本語指導法」を見ます。
全部で7つあります。(1つは1分前後)
http://www.kodomo-kotoba.info/videolibrary.html

解説動画を見る

上の事例を見た上で,そこにある重要点を理解するために,解説動画(第8回 タスクB 解説動画)を見てみてください。


第9回 7/6 外国人児童生徒教育における日本語指導を知る(2)
文型に焦点を置いた指導

第9回 チュートリアル動画

9-1 チュートリアル

さて,今日の授業はチュートリアルを動画で行います。
というのが,チュートリアルの中でも少しお話ししますが,今日の授業は内容的にどうしても,「本を読むこと」「授業映像で理解すること」が中心になります。
そのため,授業者である南浦はそれほど前面に出てくる必要がないからです。
なので,こういう形ですが,少しは姿を見せるというのはそれでもやりとり,お互いを知る,という点で大事かと思いますので,登場させてください。

ただ,急ぎだよ,という人は,どうぞ2倍速推奨でよろしくおねがいします。


9-2 タスクA 本を読み,文型を学ぶ指導の方法を知る

メインテキストをじっくり読む時間です。

読む前に考えてみましょう
(1)子どもが文法表現を学ぶ意味とは?

「子どもは日本語を覚えるのが早い」とか「子どもは生活やコミュニケーションの中で日本語を覚える」とよく言われます。

そうした子どもたちが「文型」(ここでは文法を表現と合わせたものをさします)を学ぶということには,どのような意味があるでしょうか。

(2)文法はどう学ぶのか?

また,文法の学びといっても,教師の多くは,相手の子どもたちの母語を知りません。

すると,よく中学校や高校の英語で学んだ記憶があるような「文法説明を受ける」という形はちょっと難しいことがわかります。

では,どのようにして文型を学ぶのでしょうか。

それを考えながら,本を読みましょう。

本の読むページは,pp.150-156です。
1)指導する文型(pp.150-151)
2)文型指導の活動展開(pp.152)
3)発達段階の違いに応じた教え方(授業案の例)(pp.152-153)
4)コミュニカティブな活動の要素(00.153-154)
5)運用のための活用例(pp.154-156)


第9回 タスクB 解説動画

9-3 タスクB 本を読み,文型を学ぶ指導の方法を知る

実践の様子を知る

日本語初期指導で見も閲覧した「JYL Project(年少者日本語学習資料開発・普及事業)http://www.kodomo-kotoba.info/」のビデオライブラリのページを見ましょう。

前回の授業でも出てきた「授業を考えるための5つの視点」を考えながら,メモしていきましょう。

解説動画を見る

「文型指導」における要点を解説動画で確認します。


第10回 7/13 外国人児童生徒教育における日本語指導を知る(3)
教科学習につなげる日本語学習

第10回 タスクA 解説動画

10-1 タスクA 教科と日本語の統合学習の教育的背景と方法

タスクAでは,「教科と日本語の統合学習」の基本的な発想について考えていきます。

ちょっと考えてみましょう

みなさんは,実際「外国語」を勉強するとき,どっちの学びが「語学の勉強としていい」と思いますか?

  1. 文法や語彙をしっかり学び,それをふまえて会話を練習する。これが「外国語マスター」としての道だ。
  2. ひとまず会話をする場に飛び込む。それによって必要な文法や語彙も獲得される。これが「外国語マスター」としての道だ。

さて,1と2,どちらが「言語学習」としていいのでしょうか?

解説動画を見る

上の問題をふまえながら,解説動画(第10回 タスクA解説動画)を見ましょう。


第10回 タスクB解説動画

10-2 タスクB 実際に教科と日本語の統合学習はどのように行われているのか?

授業動画を見る

こちらは非公開です。

解説動画を見る

授業動画を見た上で,解説動画を見る流れでした。(こちらは公開します)


第11回 7/20 多様な子どもたちがともに学ぶ学校を創造する インクルーシブに向けて(1)
共生を学校でどうつくるか?

11-1 タスクA ドキュメンタリーを見て,分析する

タスクAでは,東京都新宿区の小学校のドキュメンタリーを見ます。授業では実際にはNNNドキュメント「未来の小学校」を見ました。(非公開です)


第11回 タスクB解説動画

11-2 タスクB ドキュメンタリーの内容を整理する あるいは,外国人児童生徒への教育における文化学習,公正,カリキュラム

タスクBは,タスクAで見たドキュメンタリーとその分析した考えをふまえて,解説動画を視聴します。

解説動画を見る

解説動画を見ましょう(第11回 タスクB解説動画)


第12回 7/27 多様な子どもたちがともに学ぶ学校を創造する インクルーシブに向けて(2)
学校と地域のつくりかた

第12回 タスクA 解説動画

12-1 タスクA 多様な子どもたちを包摂する学校の作りかた

このタスクでは,外国につながる子どもたちが在籍する当初大変な苦労をしていた学校がどのように学校を改革していったのか,そこにどのような方法があるのか? ということを見ていきます。

事前タスク

ここでは,ある学校に焦点を当てて,その共生と変化を生み出したいくつかの取り組みの「しかけ」を検討します。

ただ,内容は学校情報が含まれる可能性があるので,非公開といたします。

解説動画

解説動画を公開しています(第12回 タスクA解説動画)


12-2 タスクB 小さな学校から見る学校と地域づくり

タスクBで見ていくのは,チュートリアルでも述べたように,これまで学校で外国につながる子どもを受け入れたことはなかった,地方の,ごく小さな中学校の取り組みです。

2つの中学校はどちらも「市」とは言いますが,2つの学校のある地域は,平成の大合併で市に組み込まれました。
そのため,市の中心部からは車で1時間近くかかる中山間地域の中学校です。

これまでまったく受け入れのノウハウもなく,日本語指導の専門家もいなかった学校でした。

しかし,それぞれの中学校に来ることになった外国につながる子どもは,どちらも中学校の中で次第にクラスの中で,学校の中で,居場所ができていきました。
そして,最終的には高校への進学まで結びつけていきました。

なぜそれは成功したのか,そこに学校づくりのどのような発想があったのかを検討していきます。

解説動画を見る

解説動画は非公開です。
ただし,元の論文は下記の通りですので,関心あるかたはこちらをご参照ください。